◇ サイトの趣旨説明

阪神淡路大震災、東日本大震災に続き、熊本地震が発生し、極めて甚大な被害をもたらしました。これらの大規模震災では相当数の家屋の倒壊がありました。その家屋の下敷きになったりして多くの尊い命が失われました。本来安全であるべき家屋で、このような悲劇が繰り返されることに対し、何か対策はないのでしょうか。
南海トラフ巨大地震が今後30年以内に発生する確率が70~80%だそうです。(文部科学省 地質調査研究推進本部)
それは明日かも知れませんし、一年後かもしれません。およそ的確な予想などつきようがありません。つまり、ある日突然、いつどこで地震が起こってもおかしくないと言えるのです。
今後地震の発生予測技術の進歩によって、多少なりとも事前の予測は出来るようになるかもしれませんが、その前に巨大地震に襲われる危険性は十分にあり得ると思っていた方が良さそうです。
ですから、私達が今考えておかなければならない事は、今後、地震による計り知れない甚大な悲劇が起きないようにする為の、そして何よりも、自分の命や家族の命を守る為の知恵を持っておくべきだということではないでしょうか。

このサイトでは、耐震5つのチェックポイントを完全クリアした物件の図面を閲覧できます。各図面タイプ共に、耐力壁を内外部共に筋違で構成した【全筋違】と、外壁全面をを構造用合板にし内部を筋違にした【構造用合板+筋違】の2タイプのチェックポイント毎にデータを掲載しています。まずはこのページをじっくりお読み下さい。その上でサイドバーのメニューをクリックして、ご覧になりたい建物の図面を閲覧されることを強くお勧め致します。尚、絞り込み物件検索やキーワード検索を活用していただくことで、目的の物件を素早く探し出すことが出来ます。お役に立てれば幸いです。

本論の前に 参考 耐震・制震・免震の違いと特徴等 に目を通しておいてください。

思うに任せない身体のこともあって、被災者に対する私の出来ることは残念ながら何一つありません。出来ることがあるとすれば、これから家を建てようかと思っていらっしゃる方々に、せめて耐震を最優先に考慮した設計をして下さいと叫ぶことぐらいです。そこで、そのような気持ちを込めて耐震性能に優れた住宅をいくつか設計し、ここに木造住宅耐震設計モデルプラン集として提案することに致しました。随時追加して行く予定です。

作成した画像データは、下記の「作成の趣旨とご利用に際してのお願い」をご理解いただいた上で、宜しければ右クリックして自由にお持ち帰りください。

崖の崩壊によって押しつぶされた建物も多くありますが、平地で特に重い瓦屋根の古い家屋の被害が際立っています。しかし、警鐘を鳴らしたいのは、最近建てられたと思われる家屋に被害がもたらされている点です。

ご承知のように地盤そのものが揺れるのが地震です。建物は、地震によって水平もしくは垂直に大きく揺れる地盤に対し、抵抗できる限界を超えた時に倒壊してしまいます。ですから、地震の規模によっては、抵抗しきれない場合もあるかもしれませんが、大半は何らかの対策を施していれば、被害を最小限に出来た筈なのにという強い思いがあります。

◆ では何らかの対策とはどのような事でしょうか

技術的な裏付けのない耐震設計はありません。この認識が極めて重要で、全てに優先されなければならない大原則です。その上で以下の事を実行することが重要となります。
まず敷地の地盤については、参考 コチラをご覧ください。
そして、
参考 基礎の種類とその解説
参考 部位別補強金物
そして最後に、
参考 耐震設計のチェックポイント(詳細) を完全履行することです。

提案中の木造住宅耐震設計モデルプランは以下のような趣旨に基づいて作成されています。これらの趣旨をご理解いただいた上でご利用いただきますようお願い致します。

◆ 作成の趣旨とご利用に際してのお願い

  • 敷地の地盤について
    敷地の地盤の地耐力が不足していたり、液状化現象が起きるなどが原因で建物が変形もしくは倒壊することがあります。提案の耐震設計モデルは、地耐力が少なくとも5t/㎡以上の平坦な土地で、これらの影響を受けない地盤を前提にしております。ご了解ください。
  • 期待される耐震性能について
    筋違などの構造用金物の取付や構造用合板を取り付ける際の釘の種類・釘打ち間隔の施工状態がいい加減ですと、期待される耐震性能を十分に確保することは出来ません。従いまして、実際の施工に際しましては、施工精度を高める為の厳密なチェックを行っていただく必要があります。
    参考 構造用合板について  参考 構造用合板を柱・半柱・間柱に直接取り付けた耐力壁について
    住まいの構造は縦材(柱等)、横材(土台・桁・梁等)、斜材(火打土台・火打梁等)の接合によって組み立てられています。その接合箇所はかなりの数に上ります。従って、各接合部の接合精度がいい加減ですと所定の耐力を得られません。これらの接合部を大工により手加工するケースは、最近ではあまり見かけなくなりましたが、この手加工ではなく、あらかじめ工場でCAD・CAMシステムによって加工される、プレカット材と言われる構造材を使用することを強く望みます。プレカット材と手加工の耐力の差は、20~30%程度あるとされています。
  • 建物規模の表示について
    各プランの規模については床面積(坪数)にて表示しています。いわゆる容積率対象の面積です。従って、玄関ポーチやベランダをはじめ吹抜、小屋裏収納等の面積は含まれておりません。そのつもりでご覧いただければと思います。㎡にて算出された数値を3.3124で除した値を小数点以下を四捨五入して坪数表示しています。
  • 外装材と内装材等の非構造部材について
    サイディング等の外壁材や内壁や天井下地材に使われる石膏ボード、さらに照明器具等が、地震による揺れで、ひび割れやはがれ落ちや落下などにより、怪我をしたり、最悪の場合命を落としてしまう場合も考えられます。特に天井材の取付には十分な配慮が必要です。
  • 平面図(間取り)の変更は原則出来ません。
    地震に強い建物にするには、最終的には偏心率を限りなく0に近づけなければなりません。それを可能にしているのが耐力壁(筋違等が取り付けられている壁)の配置です。この配置に基づいた計算が行われます。従って、平面図に記載されている筋違の位置変更は、原則できません。変更する場合は計算をし直して、全ての数値のチェックを行う必要があります。この考えは極めて重要な要素の一つです。
  • また、モデルで耐力壁が筋違になっている物件の場合、これを構造用合板に変更する場合も同様です。外壁全面を構造用合板に変更すると、構造用合板の方が、耐力倍率が高まるから良いという判断は間違っています。何故かといいますと、あくまで偏心率の数値を司っている、重心と剛心の位置関係から判断しなければならないからです。重心と剛心のバランスが大きく崩れた場合は、倒壊の危険性が増すことを認識しておくべきだと考えます。参考 実例を挙げて詳しく考察
  • 耐力壁の部材構成について
    このサイトに掲載されている耐震モデルプランの耐力壁は、一部を除き殆ど筋違45×90mmを取り付けた場合を想定して計算されています。これは、一般的に普及している方法を考慮して、あえてそのようにしました。当然耐力壁を構造用合板にした場合の計算も可能だということを付け加えておきます。(外壁を構造用合板にしたタイプは随時投稿中です。)
    参考 構造用合板について  参考 構造用合板を柱・半柱・間柱に直接取り付けた耐力壁について
  • 開口部の位置は原則変更できませんが、高さ寸法は変更可能です。
  • 柱の位置を変更したい場合は、再計算の上数値をチェックする必要があります。
  • 屋根形状の変更は原則できません
    基準法で定められている壁量は、屋根形状や勾配に大きく左右します。屋根の形状や勾配を変えたい場合は、再計算の上安全を確かめなければなりません。
  • 主な建物仕様は以下に基づいて計算されています。変更する場合は、再計算して安全を確認しなければなりません。
    モデュール(基準寸法) 910mm、950mm 又は 1,000mm
    1階軒高 3,550mm
    2階軒高 6,400mm
    1階標準床高 650mm
    2階標準床高(1階軒高+)125mm
    屋根材 コロニアル葺
    屋根勾配 45/100、50/100、60/100、75/100 等(物件により異なる)
  • 外壁の仕上げ材は変更可能です。図面は参考程度にご覧ください。
  • 尚、ご自分の家づくりの目的でご利用になる限りにおいては、図面(画像)のお持ち帰りは自由です。あなたの家づくりにお役立てください。
  • 瑕疵について
    モデルプランをご利用いただいた場合の、瑕疵についての責任は一切負いかねますので、良くご理解いただいた上でご利用下さいますようお願い致します。

木造住宅耐震設計モデルプラン集メニューについて

右サイドバー上部に記載されているタイプのモデルプランをご用意しました。クリックしますと物件一覧が表示されます。
作成した図面関連の画像データは、上記の「作成の趣旨とご利用に際してのお願い」をご理解いただいた上で、宜しければ右クリックして自由にお持ち帰りいただき、上手に活用して頂ければと思います。随時追加していく予定です。

提案図面作成時に考慮した重要な事

住宅の耐震に特化した提案図面を作成するのに、特に留意した点を述べます。多少専門的になりますが、耐震の根幹をなす極めて重要なところですので、出来るだけ分り易く記述してみたいと思います。

従来、木造住宅の耐震については、建築基準法に基づく計算をして、それをクリアすれば違法ではありません。つまり合法なのですね。しかしながら、合法だからと言って、家が地震に対して安全なのかと言いますと疑問があります。

このサイトでは、多くの耐震を考慮した設計図を提供しておりますが、上記の従来の考え方とは異なる計算結果をご理解頂けると思います。それは何かと申しますと、建築基準法に掲げる、クリアしなければならない各数値はもちろんチェックの対象になりますが、それだけでは全く不十分だという事を申し上げたいのです。

単刀直入に結論から申しますと、耐震上、技術的に最も有効な方法として、建物の重心と剛心を一致させるという事なのです。完全に一致させることは難しい面もありますので、偏心率を限りなく0(ゼロ)に近づけるという言い方をしています。

偏心率を限りなく0(ゼロ)に近づける為の作業(シミュレーション)を実際にしてみますと、結果として、建築基準法の求める各数値を大幅に超えた(安全側)数値になります。ですから、建物の耐力壁の配置を、この偏心率を限りなく0(ゼロ)に近づけることにフォーカスし、望ましい結果を導き出すことこそが、より高い耐震性を実現出来る最も効果的な方法なのです。

参考 偏心率は何故0に近いほうが良いのか

以下は建築基準法に掲げられているルールについて記述しています。法の精神は申し上げるまでも無い事ですが、国民が安心して暮らせるための最低限のルールを定めています。法は法ですので遵守しなければなりませんが、一瞬にして人命を奪ってしまう巨大地震に立ち向かうには、普段から、それなりの覚悟と対処法を身につけておく必要性を痛感しています。自分の命は自分で守る!とは言っても具体的にどうすれば良いのか、多くの方の知識外の出来事ですので、途方に暮れてしまいます。

このサイトは、これから家を建てる方々の為に、多少なりともお役にたてればという思いで作ってあります。そうなれば良いのですが……。

ついでに余談ですが、ご存じだとは思いますが、家を新築する際は、建物が建築基準法に合致しているかどうかをチェックする為に、役所に確認申請書の提出を義務付けられています。しかしながら現在のところ確認申請書には、上記の偏心率のデータ提示義務はありません。再三にわたり強調しているところではありますが、どんなに以下に掲げるような基準数値をクリアしたとしても、耐震上の観点から判断しますと、ただ数値をクリアすれば良いという考え方には、はなはだ多くの疑問点があり、とても納得できるものではありません。行政に対して、この偏心率のデータ提示の義務化を強く要望したいと思います。

建築基準法に掲げる耐震についての解説と考察

地震時に発生する水平力(地震力)及び台風時に発生する水平力(風圧力)に建物が耐えられるように、建物の床面積による必要壁量(地震力)及び外壁の見付面積による必要壁量(風圧力)を計算して、建物のX方向・Y方向のそれぞれの設計壁量の合計が、必要壁量(床面積・見付面積)より大きな数値を確保し、安全であることを確認しなければなりません。

  1. 風圧力は、各階の床面より1.35mを超える部分の外壁の見付面積に風圧力に対する所要壁率(係数)50cm/㎡を乗じて得た数値よりも、各階のX方向・Y方向のそれぞれの外壁見付面積に壁係数を乗じて得た数値が大きくなければなりません。風圧力による壁係数(cm/㎡)は、風の強い地域と一般地域の2種類があります。

    風圧力の所要壁率(係数 cm/㎡)

    階数 風の強い地域 一般の地域
    平屋建・2階建 50~75の範囲で各行政にてさだめられている 50
  2. 建物の階数による地震力は、各階の床面積に係数を乗じて得た数値よりも、各階のX方向・Y方向のそれぞれの外壁見付面積に係数を乗じて得た数値が大きくなければなりません。
    提案図面での耐力壁量計算は以下のような係数を用いています。

    地震力による係数と風圧力による係数(cm/㎡)

    階数 床面積に乗ずる係数(cm/㎡) 見付面積に乗ずる係数(cm/㎡)
    1階 33 50
    2階 21 50
  3. 建築基準法では、地震力による所要壁率(壁係数)は、軽い建物と重い建物の二つの区分されていて、下表のように定義されています。この数値は最低限必要な数値とされていますが、必ずしも安全である数値とは言えないと思っています。
    そこで、より安全性を高める為に、このサイトで提案しているプランでは次のような考えに基づいて作成されています。

    • 屋根材は耐震上有効とされるカラーベストやガリバリューム鋼板等の「軽い屋根」を採用し、
    • なお且つ、ごく一部を除き(後日データ修正予定)下表の「重い建物の数値」を採用しています。

    ご理解いただければと思います。

    地震力による所要壁率(壁係数)

    階数 重い建物の係数(cm/㎡) 軽い建物の係数(cm/㎡)
    平屋建 15.00 11.00
    2階建 2階 21.00 15.00
    1階 33.00

    29.00
    3階建 3階 24.00 18.00
    2階 39.00 34.00
    1階 50.00 46.00
    備考 日本瓦・洋瓦・外壁がタイルや石張り等 金属板・石綿スレート等

耐震計算をし直さなければならないケース

掲載中のモデルプランの耐震計算をし直さなければならないケースについて述べます。
屋根形状はいろいろなタイプが考えられますが、最近太陽光発電用パネルを設置するのに有効な切妻や片流れが多くなってきましたので、その事を意識しながら、今後切妻屋根もしくは片流れ屋根も多く掲載する予定です。
敷地の形状にも関係してきますが、特に片流れ屋根の場合は北側斜線制限をオーバーしがちですので、デザインに注意しなければなりませんが、一応その辺も考慮したデザインにしてあります。外観のデザインを変更したり屋根勾配を変更しますと、当然見付面積が変わりますので、耐震計算をやり直す必要があります。
まとめますと、基本的には、耐力壁(筋違や構造用合板を取り付けた壁)の部材種類変更・位置変更や開口部の位置変更、屋根勾配や屋根形状の変更のほか上記の建物仕様等の変更をした場合は、必ず耐震計算をし直して安全を確認する必要があるということです。

耐震計算の出来る業者選定は必須条件です

家を建てる場合、この耐震計算がきちっと出来る設計事務所や施工業者にお願いすることが貴重な財産を守る第一歩になります。無知や勘に頼った家づくりほど怖いものはありません。耐震設計は建てる敷地の地盤の性格(条件)のこともありますので100%安全ということではありませんが、少なくとも技術的な裏付けのある手法に基づいた設計ですので、施工精度さえきっちりしていれば、かなりの確率で安全な建物になることは間違いありません。
業者との打ち合わせの段階で、耐震設計について業者に問い掛けてみてください。その際次のような言葉が返ってきた業者には家は建てて貰わない方が賢明と言えます。

  • 「筋違は法で定められた量よりも多く取り付けます」
  • 「耐力の高い構造用合板を外壁全面に施工しますので大丈夫です」
  • 「筋違は90×90の断面の大きい部材をふんだんに使いますから全く心配ありません」

何故賢明でないかと申しますと、耐震設計は耐力壁の量や耐力倍率や部材の大きさのみで語るものではありません。勿論、量も耐力も部材の大きさも重要な要素であることには変わりありませんが、ただそれだけを満たせば良いという事ではないのです。くどいほど何度も言ってきていることなのですが、結論から言いますと、耐震設計の根幹は、壁量を充分に満たした上で、建物の重心と剛心を限りなくゼロに近づける事につきます。ですから、間取りの造り方によっては、各チェック項目を満たしえない物件もあるという事を知っておくべきだと思います。

耐震計算の方法

掲載するデータを手作業で行いますと大変な時間が掛かってしまいますので、計算処理と図面作成はSUNCADというCADソフトの力を借りています。SUNCADは木造住宅専用のCADですが、信頼性の高いとても人気のあるCADです。全国の多くの設計事務所や施工業者等で利用されています。SUNCADに興味がありましたら コチラ をご覧ください。

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